頻尿について
排尿の回数が多く、間隔が近いことを頻尿と言います。起床から就寝まで、排尿回数が8回以上あると頻尿と呼びます。8回以下であっても、ご自身で回数が多く、間隔が近いと感じるのであれば、頻尿とされます。
頻尿の原因
よくある原因として、習慣性頻尿、過活動膀胱、尿路感染症、心因性頻尿などがあります。そして、まれですが、腫瘍が隠れていることもあります。
夜間頻尿
夜、排尿のために起きないといけない症状を夜間頻尿と言います。夜に2回以上起きるときに治療をお勧めしています。
夜間頻尿の原因は非常にさまざまです。もともと、1日の尿量は1000-1500mlですが、その1/3以上の尿が夜間に産生されるようになると、『夜間多尿』といいます。これは高齢になると、徐々に増加します。原因は、年を取って抗利尿ホルモンの分泌が悪くなるほか、昼間は重力で足にたまっていたむくみが、就寝してから体の方にもどってきて尿として排泄されるなど、さまざまです。また、前立腺肥大や、あとでお話しする切迫性膀胱などでも発症します。
病気によって引き起こされる夜間頻尿には、糖尿病、腎臓病、心臓病、高血圧、脳血管障害、睡眠時無呼吸症候群、うつ病などがあります。当院ではこれらの夜間頻尿に関わる病気を広く診察していますので、気になる方はご相談ください。
多尿
健常成人の尿量は約1000-1500ml/日ですが、尿量が2500ml/日以上になると、多尿と言われます。多尿の原因はさまざまですが、有名なものに糖尿病、尿崩症、高カルシウム血症、低カリウム血症などがあげられます。そのほか、単純に水分の過剰摂取であったり、アルコールの摂取などで尿量が増えることがあります。また、ストレスや不安が原因で、水をたくさん飲んでしまう心因性多飲症からの多尿もあります。まずはご相談ください。
習慣性頻尿
外でトイレがないと不安だから、という理由で、出かける前にトイレに必ず行く、尿意がなくてもトイレがあればトイレに行く、といった習慣はありませんか。膀胱に十分尿がたまっていないのに、まめに排尿する癖をつけてしまうことで、排尿回数が増えてしまうことを、習慣性頻尿と言います。
夜、布団に入ってすぐ、必ずトイレに行ってしまうという方は、夜間頻尿のことももちろんありますが、実は習慣性頻尿の方も多いです。トイレに行っても一回排尿量が少ないのであれば、少し我慢して尿をため、尿意を感じてからトイレに行く習慣をつければ、徐々に解消されていくことがあります。
過活動膀胱
強い尿意があって我慢することが難しく(尿意切迫感)、何度も何度もトイレに行ってしまう、時には我慢できなくて漏らしてしまうことを、過活動膀胱と言います。
まだ尿がたまっていないのに、膀胱が不随意に収縮するため、急に強い尿意をきたします。
原因は、加齢、前立腺肥大症、骨盤底筋の筋力低下などがあげられます。また、脳梗塞後・パーキンソン病などの神経疾患などでも起こりやすくなります。
強い尿意に恐怖を覚え、漏らすのを避けるために繰り返しトイレに行く方が多いです。膀胱にまだ十分な尿が貯まっていないのに、膀胱が勝手に収縮してしまうので、強い尿意になってしまうのです。男性であれば、前立腺肥大症が関係していることもありますし、尿路感染症、膀胱結石、膀胱がんなどと関連していることもあります。原因ががんや結石、感染症ではないことを確認したうえで治療をすれば、症状を改善することができます。
過活動膀胱の方は非常に多く、日本では約1000万人と言われています。
頻尿における対処方法
このように、頻尿の原因になるご病気は非常に多く、重篤なご病気がひそんでいることもあります。また、心因性や習慣性によるものも、決して少なくありません。
頻尿が気になってきたら、まずは3日間メモを取ってみることをお勧めします。書いておくのは、水分を摂取時間と摂取量、またトイレに行った時間と尿量です。
排尿メモをもってご相談くださいますと、よりスムーズに、必要な検査や治療に繋がりやすくなります。まずはお気軽にご相談ください。
尿がにおう(尿が臭い)
尿のにおいが気になっても、なかなかご相談しにくいようです。これくらいで相談するほどでもないと思われがちですが、これも大切な体のサインです。当院はどこに相談していいか分からない、尿の色や、強いにおいなどについてもご相談に応じております。お気軽にご相談ください。
尿がにおう原因について
尿がにおう、くさいと感じるときは、腎臓から尿道までのどこかに異常があることがあります。原因は、尿に『糖』『細菌』『がん細胞』が混じっていることがあげられます。
尿に糖が含まれている
糖尿病の場合、その病気の名前のとおり、尿に糖が混じるため、おしっこが甘いにおいを出すことがあります。さらに、糖尿病が進行すると、インスリンの分泌不足により体の中の糖が利用できなくなるため、代わりにエネルギー源として脂肪が分解されはじめます。脂肪が分解されると、ケトン体という物質が生成され、これらが尿に混じると、甘酸っぱいにおいがします。尿から甘い匂いがするときは、高血糖がかなり重篤と考えられます。すみやかに受診してください。
尿が細菌感染している
腎臓から尿管、膀胱、尿道など、尿が通過していく尿路に細菌感染がおこると、尿素が細菌によって分解され、アンモニア臭が強くなります。有名な疾患に、腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、尿道炎などがあります。尿は濁り、痛みや発熱を伴うこともあります。尿検査では尿蛋白や尿潜血が陽性になります。医療機関で、すみやかな治療が必要です。まずは受診してください。
尿にがん細胞が出ている
尿管や膀胱など、尿の通路や腎臓にがん細胞がある場合、尿がにおうことがあります。尿細胞診という検査を行って、尿中に癌細胞がないかどうかチェックしてみることが必要です。
普通の尿検査から行うことができますので、まずはご相談ください。
ダイエット中である
糖質制限ダイエットが、一時期非常にはやりました。糖質制限を行った状態で日常生活を送ると、体内の脂肪が分解され、ケトン体が尿に出ます。また、激しい運動を行って、体内から糖質が枯渇した場合も、同様にケトン体が尿に出ます。どちらも、糖尿病の時と同様、尿から甘酸っぱいにおいを感じることがあります。
肝臓機能が悪くなっている
肝臓にはアンモニアを分解する回路がありますが、肝炎や、肝硬変などにより肝機能が低下するとその機能が低下し、アンモニアが体内に貯まりやすくなります。尿もまた、鼻にツンとくるアンモニア臭が強くなります。肝機能は、採血や腹部エコーで確認することができます。いつでもご相談ください。
食べたものや、おくすりの臭いが出ている
尿に臭いが出やすい食べ物や飲み物があります。カレー、ニンニク、ニラ、コーヒーなどは、尿からそのにおいがすることがあります。アスパラガスは硫黄のようなにおいがすることがあります。また、一部の抗菌薬や抗てんかん薬、ビタミン剤などでも匂うことがあります。基本的にそれらを摂取しなければ、においも消えていきます。
頻尿・尿の臭いの原因を調べる検査
尿検査
尿中に、尿蛋白や尿潜血、細菌、細菌と戦う白血球などが出てないかを調べます。
また、尿細胞診によりがん細胞の有無を検査することもできます 。
血液検査
血糖、HbA1c、肝機能、腎機能などを調べます。また、お体のどこかに、炎症がないかもどうかを調べます。必要に応じて、腫瘍マーカーなどもチェックします。
超音波検査(エコー検査)
腎臓、尿管、膀胱に異常がないかを調べます。糖尿病腎症の方は、その進行度によって、腎臓の腫大や萎縮が認められることがあります。エコー検査では、それらもあわせて調べることができます。
※超音波検査の予約は5月から開始となります。