HbA1cが高い

HbA1cが高いと
指摘された方へ

HbA1cが高いと指摘された方へ

HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)とは、糖尿病の診断や、治療経過を見るために非常によく使われている検査です。
ヘモグロビンとは、赤血球の中にあるタンパク質です。酸素と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っています。HbA1cとは、このヘモグロビンにブドウ糖が何パーセント結合しているかを調べる検査で、単位はパーセント(%)です。

赤血球の寿命は、約120日(4か月)です。古いものから順に脾臓で壊され、新しいものが骨髄から生まれます。体の中をめぐっている赤血球の平均年齢は60日(2か月)です。
血糖は、ここ数日の食事や運動で大きく変動しますが、HbA1cは過去1~2ヶ月間の平均的な血糖を示しますので、この値が高いということは、糖尿病の疑いがあると考えられます。

HbA1cの正常値は、年齢によって異なりますが、特定保健指導にかかる基準値は5.6%ですので、これを越えると予備軍と考えてください。
HbA1cが6.5%以上の場合には、糖尿病が強く疑われるため、はやめに内科を受診し、精密検査を受ける必要があります。境界型糖尿病であっても、早めの食事・運動療法の開始や、食後高血糖改善薬を使用することで、糖尿病発症を予防することができます。
HbA1c7.0%を越えている場合、合併症の進行がすでに始まっています。無症状でも、早急に検査や治療を受けることをお勧めいたします。

HbA1c値と合併症について

高血糖が慢性的に続くと、血管の内側に微細な傷をつけます。体はその修復を繰り返すことで、動脈硬化が進行していきます。
糖尿病の三大合併症である糖尿病網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害といった細小血管障害は、HbA1c7%を超えると増加しはじめ、8%を超えると指数関数的に増加します。そのため、HbA1c7%以上の方は、とにかく早く7%を切ることが、治療の目標となります。

糖尿病に加え、高血圧、脂質異常症、肥満を合併している方は、脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・閉鎖性動脈硬化症といった合併症を引き起こしやすくなります(コラム:死の四重奏)。
HbA1c7%未満に押さえつつ、合わせて血圧、脂質、体重の改善を行っていくことも、非常に重要です。

まれではありますが、血糖が正常にもかかわらず、遺伝的要因で、HbA1c値が高いことがあります。また、甲状腺機能亢進症、腎不全、薬剤などでもHbA1cが高くなることがあります。当院では甲状腺や腎臓の検査もあわせて行うことができます。気になる方はご相談ください。

糖尿病性神経障害

HbA1cが高いまま放置していると、多くの方で、最初に起きてくる合併症が神経障害です。高血糖により、主に下肢の感覚神経を栄養する血管が障害され、つま先のしびれ、感覚の鈍さ、ピリピリ感などの症状を起こします。裸足なのにスリッパをはいている感じがする、毎日砂利を踏んでいる感じがするなど、症状はさまざまです。進行すると、足の感覚が消えてしまい、傷があっても痛みを感じなくなります。水虫や胼胝といった、足の小さな傷から感染が進行し、壊死や切断に至ることもあります。

糖尿病性網膜症

さらにHbA1cが高い状態が続くと、次に起きてくる合併症が網膜症です。網膜を栄養している血管が高血糖により傷つけられ、徐々に閉塞していきます。その結果、網膜の栄養や酸素不足が起こり、網膜の細胞が死滅していきます。
網膜の外側には、血管が豊富な脈絡膜とよばれる血管があり、酸素や栄養が足りなくなった網膜に対して、脈絡膜新生血管とよばれる血管を延ばして、網膜の栄養不足を補おうとします。しかしこの新生血管はもろく非常に破れやすいため、繰り返し出血を起こします。その結果、視力は大幅に低下し、失明に至ることもあります。
現在、糖尿病網膜症は、日本人の失明原因の第三位です。失明を避けるためには、日々の血糖コントロールだけでなく、定期的な眼科受診が必要です。当院では近医眼科と提携し、協力して早期発見できる体制を整えています。

糖尿病性腎症

糖尿病の三大合併症の中で、最後に起きてくるのが糖尿病腎症です。高血糖が腎臓の血管にダメージを与えると、徐々に、微量アルブミンという小さなタンパクが尿に漏れ出します。この時点では、尿検査だけでは分からないこともあります。さらに進行すると、尿たんぱくが徐々に増えていき、毎回尿検査で尿たんぱく陽性になると、将来的に透析治療が必要になるリスクが大幅にあがってしまいます。
日本における透析導入の原因の第一位が糖尿病腎症で、4割を占めます。第二位は腎硬化症で、主に高血圧が原因です。透析を避けるためには、血圧と血糖のコントロールを合わせて行うことが必要です。また、微量アルブミン尿の段階で腎症の進行に気づき、止めなければなりません。当院では微量アルブミンの検査が可能で、3か月に1度、必ず行っています。

動脈硬化

糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満は、合併すればするほど動脈硬化の進行をはやめ、心筋梗塞・脳梗塞・下肢閉塞性動脈硬化症のリスクを上昇させます。
その中でも、心筋梗塞は、働き盛りの40-60代を襲うことが多い病気です。現在、心筋梗塞は、定期的に検査を受けることで、高い確率で予防できるようになりました。
当院では、ホルター心電図、血管年齢検査、心臓超音波検査といった、一連の検査を院内で受けることができ、循環器専門外来に通うことも可能です。また、頸動脈・下肢の超音波検査なども充実しており、脳梗塞リスクや下肢動脈硬化症の進行をチェックすることができます。
※超音波検査の予約は5月から開始となります

HbA1cが高い方に当院が行う検査・治療について

検査内容

HbA1cが高い方は、糖尿病の可能性がありますので、問診と検査をさせていただきます。家族歴や、これまでの健診結果などは、今後の治療方針にとても重要です。ご家族に聞いていただいたり、過去の健診レポートなどがあればお持ちください。より、ご本人に合う検査をすることができます。
その後、血液検査、尿検査、血糖測定、心電図、血管年齢検査などから、糖尿病の現在の状態、また合併症の有無などをしらべていきます。
HbA1cと、実際の血糖値がおおはばに異なる場合、異常ヘモグロビン血症や、貧血などの可能性もあります。それらも、血液検査などの結果からチェックすることができます。

治療内容

治療は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。治療内容は、おからだの状態により、おひとりおひとり異なります。
当院では、糖尿病専門医、循環器専門医、糖尿病認定看護師、管理栄養士、公認心理師が在籍しており、専門チームで治療に当たらせていただきます。境界型糖尿病など、まだ非常に初期の段階から、心臓や脳などの合併症を起こされてしまった方まで、専門的なご相談に乗ることが可能です。また、セカンドオピニオンもお受けしております。HbA1cが高くてご不安な方は、お気軽にご相談ください。

診療科目
糖尿病内科/循環器内科/甲状腺・内分泌内科/一般内科/睡眠時無呼吸症候群(いびき外来)/不眠症・心身症外来/予防接種/健康診断・特定健診
  • 〒120-0026 東京都足立区千住旭町40-27 トラヤビル3階
  • TEL:03-6806-1521
診療時間 日・祝
9:00~13:00 ●★
15:00~18:00

循環器内科専門医による外来あり

※受付時間:診療終了時間の30分前まで(予約の方を除く)
休診日…水曜午後・土曜午後・日曜・祝日

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